Journal of UOEH
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性腺細胞, 子宮内膜細胞に及ぼすProgestin製剤(Gestrinone)の影響
吉田 耕治大塚 治夫岡村 靖門田 徹
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1985 年 7 巻 4 号 p. 409-417

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抄録

子宮内膜症治療薬として注目されているprogestin剤であるgestrinoneをヒト子宮内膜・内膜癌細胞,豚卵胞顆粒膜細胞の単層培養系にin vitroで負荷して細胞増殖やホルモン産生に及ぼす効果を調べた. in vivoではXY gonadal dysgenesisと子宮筋腫の患者に25mgを3日間内服させた時のgonadotropinと性ステロイドの変化を検討した. 内膜の単層細胞のコロニーに本剤の10ng/ml添加により分泌期様の変化をきたし, 内膜癌細胞の単層培養は50ng/mlで増殖のピークが認められたが培養が長期にわたると逆に抑制された. 豚顆粒膜細胞のestradiol-17β産生はgestrinoneでdose-dependentに増大しprogesterone産生は50ng/mlで刺激され500ng/mlでは抑制された. XY gonadal dysgenesisに内服させたところLH, FSH値は低下したがestradiol-17β値は上昇した. 筋腫の症例では月経周期の7,8,9日の内服で排卵は抑制されず血中ホルモン値も大きな変化はなかった. 以上の成績からgestrinoneは, 現在広く子宮内膜症に使用されているdanazolに比して, 偽妊娠療法剤的mini-pillとしての作用がより大きく中枢とともに性腺, 子宮内膜に直接作用することが推測された.

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© 1985 産業医科大学
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