Journal of UOEH
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難治性乳児下痢症
―感染・亜鉛欠乏・胆汁うっ滞・出血傾向は原因か結果か?―
山岸 稔浜本 史明白川 嘉継河田 泰定梶原 康巨小松 啓子
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1987 年 9 巻 3 号 p. 329-339

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抄録

わが国では近年の社会事情, 栄養状態の好転により難治性下痢症例の数は激減した. しかし少数例とはいえその治療のむずかしさは依然として変りがない. 難治性下痢とは広義には通例の食事, 薬物療法に反応しない治りにくいものをいい, 狭義には諸家がそれぞれ定義を設けているが, 乳児期のそれらの多くは下痢・飢餓・栄養失調・衰弱が悪循環を形成して非特異的胃腸炎を慢性化させ遷延させるものを指している. ここに報告する2乳児例も慢性非特異的胃腸炎による下痢, 体重増加不良に加えて, 第1例では染色体異常, 噛乳不良, 感染, 出血傾向, 亜鉛欠乏など, 第2例では胆汁うっ滞, 高γ-グロブリン血症, 乳汁不耐, 脂溶性ビタミン欠乏, 出血傾向などが認められ, しかもこれらが悪循環の成立・維持に加担していることが推測された. そこでかかる諸症状が, 原因か結果かについても検討・考察を加えた.

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© 1987 産業医科大学
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