住宅建築研究所報
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持家所有に関する日・英・米の比較研究(2)
住田 昌二多治見 左近檜谷 美恵子水原 渉
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1987 年 13 巻 p. 315-333

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抄録
都市化がすすむと,賃貸住宅のストックが増加するといわれているが,戦後の住宅所有形態(housing tenure)の推移をみると,日本を含めて多くの先進資本主義国では,「庭つき戸建」に先導された持家の普及プロセスが,より一般的であった。本研究は,このような現象が明瞭にみられた日・英・米をとりあげ,戦後の持家所有の推移過程と持家の社会ストック構造に関して,3国の共通性と差異性を検討した。初年度の研究では,時間軸の視点から,戦後に重点を置きつつ,人口の都市集中,階層構成,住宅のフローとストックなどの過去百年余の推移を検討し,いずれの国においても,地方差はあるが,全体として持家率は確実に上昇してきていることを確認した。次年度の研究では,空間軸の視点から,3国の住宅テニュア分布構造(持家と借家の分かれ方)を,国レベル・都市レベル・大都市圏レベルで比較を行った。国レベルでは,日と米は,都市性の高底と持家率の高低とに平行関係がみられる点で相似性がみられるのに対し,英は,持家・公共借家・民間借家の地域特化が,地域の繁栄・衰退とオーバーラップしている構造をもつ点で,前2者と差異性をもつことを確認した。日と米の基本的な差は,米が都市性が強くなるほど借家化・集合化がすすむのに対し,日本は都市性より階層性にバイアスがかかっていることを明らかにした。 なお,補論として,持家率が低い西ドイツについて,その原因の分析を行い,それが中世からの連続的な都市発展に起因していることを明らかにした。
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© 1987 一般財団法人 住総研
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