抄録
W.Schonwandt:Hinweise der Sozialwissenschaft zur Wohnungsplanung, Shriftenreihe “Bau-und Wohnforschung”des Bundesministers für Raumordnung,Bauwesen und Städtebau,1982(住宅計画のための社会科学からの提言)を主要文献として,欧米(ドイツ・アメリカ・イギリス等)の集合住宅計画研究の概要を明らにし,日本との比較で欧米の住生活観と住宅計画を考察している。また研究の流れを把握するために,カリフォルチア大学(バークレー)C.Cooper-Marcus女史のUser Needs Research in Housingを,第2の参照文献としている。Cooper-Marcusの研究史は,集合住宅計画研究が,ユーザー(居住者)の真の要求を把握するために,科学的になっていくことを示している。ドイツやイギリスなどのヨーロッパでは,戦災復興としての住宅計画に対する住まい方調査研究が,研究史の主流を形成しており,アメリカヘ多大な影響を与えたという。Schonwandtは,戦後から1982年までの文献データベースから体系的に研究を整理し,計画への提言を示しているが,彼による欧米の研究論文においては,日本における最小の住居での生活の合理化のような課題が必ずしも正面に出て来ず,家族生活での心理的,精神的健康とか子供の成長における自律性・社会性などの問題が強く意識され,住宅計画への楽観的期待がみられた。極端に言えば,欧米では,特に建築計画との関係を自己規制しない素朴なヒューマニズムに立つ住生活観,日本では同じヒューマニズムでも限定された感じで生活操作を企図した機能主義が目立つようだ。研究はまだ欧米の研究の全体を十分に明らかにしているとは言えない。今後は,十分取りあげられていない諸外国,特定の研究者及び周辺領域を意識して,資料収集して充実したい。