住宅建築研究所報
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中国農村における住宅建設と集落整備に関する研究(2)
浦 良一青木 正夫荻原 正三下河辺 千穂子林 泰義山田 晴義東 正則竹下 輝和川嶋 雅章菊地 成朋
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1987 年 13 巻 p. 383-394

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抄録
 本研究では,広東省広州市郊外の珠江デルタ地帯にある番禺県において,農村の都市化,地方都市と農村の関係,住宅の近代化,地域施設の段階構成と規模などの実態調査をおこなった。番禺県は米・甘蔗の主産地であるほか,香港,マカオに近く工業,貿易もさかんである。調査対象地区は①伝統的な姿を残す村,②集落計画によって改造中の村,③集落整備計画により改造の終わった村の3郷と2鎮である。番禺県は近年の経済的発展に伴い都市の再開発,新開発がおこなわれているが,いずれも国や省の計画策定推進の方針に従って基本計画策定がすすめられている。計画案は各単位の代表が協議し素案を作り,これを各単位ごとに検討することを繰り返して作成され,最終的には県政府の指導を受け許可される。計画の実現に当っては華僑資本等が導入されて進められていることもある。 番禺県では1970年代より住宅の更新が活発であるが,当初は在来型住宅の部分的な改善であり,開放経済政策以後は全面的な改善がおこなわれ,在来型住宅に比べて近代型住宅ともいうような新しい型の住宅が建築されている。このような在来型住宅から近代型住宅への変化の要因として①住宅規模の拡大,②住宅設備の充実,③住宅空間の合理的機能性の向上,④西洋的生活様式の受容の4つがあげられる。特に広東省は西洋化の影響を,直接受けるところにあり,西洋化の受容は今後の課題である。医療・学校施設は郷・区・県の各単位に計画的に配置されているが,社会福祉施設の設置単位は一様ではない。集落改造のなかでこれら施設の生産流通施設との混在や既存市街地外に配置する等がみられ,今後の交通や環境問題の発生が懸念される。また,集落整備に伴ってその集落から長い年月維持してきた共有空間が失われる結果を生んでいることなど指摘できる。
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© 1987 一般財団法人 住総研
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