住宅総合研究財団研究年報
Online ISSN : 2423-9879
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まちづくり主体の育成のための「まち遊び」方法論構築に関する研究
住み手による身近な環境整備推進手法の開発に向けて
吉川 仁延藤 安弘高見澤 邦郎木下 勇倉原 宗孝森 まゆみ斎藤 久美子卯月 盛夫梅津 政之輔井上 赫郎
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1995 年 21 巻 p. 201-210

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抄録
 本研究は,市街地内の身近な環境資源を活用した体験型の都市・まちづくり学習=「まち遊び」について,具体的な地区で有効性を検証し,いきいきした各地の事例から住民が主体的に進めうるまちづくりのための方策を考察する。 通例,まち遊びは催しの一部として実施される。住民参加のまちづくりが10年以上続いている世田谷区太子堂地区で,まちづくりと催しに関するアンケートを実施した。結果,1)催し参加は「面白そう・楽しそう」「通りがかり」など一般的な動機からである 2)催しに参加した結果,まちづくりヘの親近感等が増加する 3)催し参加とまちづくり活動への参加意欲は密接に関連している等が判明した。同時にまちづくりや催しに興味がない層,体や家の事情で参加できない層があることも確認した。「まち遊び」は,地域づくり関連,地区レベルのまちづくり関連,それらのための人づくり関連に大区分できる。全国の事例から,ユニークで参加者だけでなく主催者も楽しんでいる等の観点で「まち遊び」9事例を取りあげ考察した。共通する点として,1)まちの宝にこだわる,実際の体験を重視,2)仕掛人が自分が面白いと思うことをまじめに楽しむ,3)参加者の自発性を刺激し発想を広げる,4)人と人の関係づくりを大事にし仲間づくりに成功している等が指摘できる。これらによって次段階のまちづくり活動や次代のまちづくり人が生成している。 本研究の結論として「まち遊び」の効果と限界を考察した。まず,まちづくり発展過程を考察し,それに対応する「まち遊び」手法の見取り図を仮説としで提示した。「まち遊び」の効果では(1)「まち遊び」はまちにこだわりをつくる,(2)「まち遊び」は多様性を発掘する,(3)面白さ・楽しさがまちにあふれる,等が指摘でき,最後に(4)「まち遊び」は住み手の内発性を基軸とした「状況内発」型のまちづくりに展開する可能性を有していることを提起した。今後の研究課題では,事例の体系化不十分を克服する意味で,国際的事例の比較検討を含む事例データベース作成が必要であり,楽しさを広く伝える意味で「まち遊び」実践講座をつくる等がある。
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© 1995 一般財団法人 住総研
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