住宅総合研究財団研究年報
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近代における皇族別荘の立地・沿革及び建築・使い方に関する研究
海浜別荘を中心とする検討
水沼 淑子加藤 仁美小沢 朝江
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2001 年 27 巻 p. 147-158

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抄録

 本研究は,御用邸・離宮など皇族別荘を研究対象とし,近代における海浜別荘の成立・変容過程とその建築や使い方の特質を明らかにすることを目的とする。戦前に設けられた離宮・御用邸25件,宮家の別邸49件を見ると,宮家の別邸は震災前は御用邸が設けられた海浜別荘地に多いが震災後山間部の新興別荘地に拡がること,本邸の多くが洋館を備えるのに対し別邸は大部分和館のみであること,などの傾向を指摘できる。御用邸においては,和館であっても床に絨毯敷が導入され,椅子座が広く導入されている一方,宮家では,数寄屋の伝統を継ぐ田舎家風の意匠への嗜好が強く見られる。また,天皇家は一施設もしくは一段舎の利用者を特定し,複数施設・複数殿舎を使い分けていた。

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© 2001 一般財団法人 住総研
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