住宅総合研究財団研究論文集
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明清代蘇州文人の思想背景と居住環境形成に関する研究
洞庭王氏における都市と集落の居住環境を素材に
箕浦 永子菊地 成朋伊藤 裕久
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 33 巻 p. 65-76

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抄録

 本研究では,中国江南の都市蘇州を中心に,所謂「文人」と呼ばれる知識人層の居住環境形成について考察した。素材として,蘇州文化の最盛期と言える明末の文人を発端に,特に隠居にまつわる都市と集落の居住環境について,文字・地図史料の解読と現地調査結果から復原的考察によって読み解くことを試みた。その結果,1)隠居にあたり,集落(山水)環境での隠棲の他に,都市に居住し市隠と交流しながら文人的活動や社会的活動を行う場合もあること,2)都市住宅のほうで文人的特徴である花庁や園林が顕著に存在したが,集落でも文人はこれを所有すること,3)住宅は拡張と縮小,一部更新など部分刷新が行われていたこと,等が明らかとなった。

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© 2007 一般財団法人 住総研
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