2007 年 33 巻 p. 77-88
祭礼住文化の継承という切り口から町家や町並みの歴史的ストックの重要性を検証し,それらを活用した住まいとまちづくりを考察することが本研究の目的である。富山県の城端曳山祭の10年間の継続調査からは,道路拡幅事業による町の近代化が町家を活用した伝統的な祭礼住文化を変質させただけでなく,それが祭礼を外部に開き観光化を図るまちづくりへの契機となったことを明らかにした。一方,歴史的ストックが残る地方都市では,町家の内部にかつての屏風祭を再生し,あるいは雛飾りをして観光客に公開する観光型イベントが住民自身に歴史的ストックの魅力を認識させ,住民参加型のまちづくりにつながっていることが明らかになった。