2007 年 33 巻 p. 99-110
1900年前後に米国で建設され,現存する3件の住宅(マサチューセッツ州の松木文恭邸,ニューヨーク州の松楓殿,カリフォルニア州のハンティントン庭園ジャパニーズ・ハウス)の実測調査を通して,米国における日本建築の多様性と特質,その受容と理解を考察した。3件の住宅にはそれぞれ,様式の簡易化や折衷,独特な装飾の組み込み,格式の無視といった本来の日本建築にはない特徴がみられた。また万国博覧会の日本館が移築され上流階層の別荘となった松楓殿,美術商の自邸である松木邸,大衆的な娯楽施設としての日本庭園に建てられた家屋というように,建設過程,目的,建設主体,受容階層の違いによって,様々な様相をもつことが確認された。