2007 年 33 巻 p. 111-122
湘南地域の住宅地景観は,海・山・川等の独自の自然環境や地形の特性を背景に立地した,明治期からの初期別荘地や戦前に開発された郊外住宅地を中心に形成されている。本研究では,これらの住宅地が一定の住環境,風致景観を維持しながら形成されていく経緯を把握,追跡することにより,重層的な広がりをもって維持・保全されてきた住宅地の景観構造の要因をさぐることを目的とした。その結果,昭和戦前期に形成された郊外住宅地の敷地規模を中心とした計画水準の高さ,初期別荘地から継承した景観要素が,現在の住宅地の景観構造に大きく寄与していることが明らかとなった。