2007 年 33 巻 p. 123-134
日本及び台湾では戦後の住宅不足に対処するため,近隣住区論にもとづく住宅地開発が各地で進められた。これらの住宅地では,経年による居住者像の変化や社会経済状況の変化による生活様式の変化によって,住宅地内の施設と現在の生活ニーズに乖離が生じている。そこで,本研究では,台湾の住宅地開発について,中興新村,民生コミュニティ,成功国民住宅,天母コミュニティを対象事例として,開発当時参照された計画論を再考し,近隣施設の主な利用者として想定されている既婚女性の購買施設の利用状況を中心に,近隣住区論が抱える今日的課題を明らかにし,計画的住宅地の問題点を考察しようとしている。