2007 年 33 巻 p. 229-240
本研究は,鉱山系高等教育機関の学生が国内外の鉱山へ赴き,その生産システムを学んで結果を報告した「実習報文」を通覧・整理し,近代日本における鉱業系企業社宅街の開発や計画の意図を探るための基礎資料を作成し,社宅街のハード・ソフト両面の特徴を考察したものである。実習報文の添付資料・記述から,社宅街の施設や計画についての新たな知見の発掘と,社宅街の施設改善への方向性を確認し,従来いわれてきたこととは異なる社宅街を自律的に語りうる新たな視点を得ることができた。また,従来の研究方法に加え,実習報文が有する情報を多面的に統合することで,社宅街の計画意図を経年的に把握できることも明らかにした。