2007 年 33 巻 p. 219-228
本研究のねらいは,住戸・共用空間の計画と居住者の主体性に特徴があり,入居後20年が経過したコーポラティブ住宅・ユーコートについて,48戸が形成する集住環境のハード・ソフトの変容の特質と,持続的な居住に向けた課題を明らかにし,今後の集合住宅・住環境計画に一定の示唆を得ることである。(1)住生活の変化に対応した住戸改造は,開放的な間取りになる傾向があり,近隣先行事例を参考にすることで空間の質を高めていたこと,(2)高齢化に対応した集住環境改善には,持続的な対話の経験と場が重要になること,(3)計画段階で親世代が希望していた子育て環境は,第二世代に概ね継承され住居観を育んでいること等がわかった。