2007 年 33 巻 p. 335-345
本研究では,家計がどのような住宅を選択するかというテニュア・チョイス問題を,住宅資本コストと取引費用という概念を用いて,理論的,実証的に研究したものである。その結果,持家取得に要する固定費用と,情報の非対称性による借家契約に伴うエージェンシー・コストによって,テニュア・チョイスと住宅規模が決まることが分かった。また,実際の取引データを基に,マンション価格関数と家賃関数を推計し,持家と借家の資本コストを推計し,理論と整合的な結果を得ることが出来た。新設住宅着工に関しても資本コストによる影響があるかを検討し,税制の変化によって資本コストが大きく変化し,その影響で着工戸数が変化することも実証された。