住宅総合研究財団研究論文集
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コンバージョンが示唆するハウジングシステムの課題と再編の方向
英国の事例を踏まえて
齋藤 広子
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 33 巻 p. 21-39

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抄録

 コンバージョンはわが国のハウジングシステムの多くの矛盾や限界を提示した。それを踏まえ,今後のわが国のハウジングシステム再編に向けての課題を明らかにすることが本稿の目的である。コンバージョンとは,地域力を高めるために,建物の用途変更を通して,空間の変化を伴い,建物を再生する行為であり,都市再生 ・良好な居住空間創出手法でもある。わが国におけるコンバージョンには主に5タイプある。第1タイプは不動産所有者の家族のための部分コンバージョン,第2タイプは単身者用住宅への部分コンバージョン,第3タイプ は単身者用住宅への全体コンバージョン,第4タイプは分譲マンションへの全体コンバージョン,第5タイプは高齢者住宅への全体コンバージョンである。しかし,これらは都市再生や良好な居住空間創出につながりにくくなっている。そこで,英国の事例を踏まえて,コンバージョンが市場で成立し,上記課題にこたえるためには,ハウジングシステムの再編が必要であり,具体的には建物を長く使うための総合情報体制,地域力を生出すための地域プロパティマネジメント体制,空間量の変化に対応した所有・管理方式が必要であることを示している。

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© 2007 一般財団法人 住総研
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