2008 年 34 巻 p. 421-432
成人した子と親がともに暮らす「成人同居期」の実態を生活面の自立という視点からとらえるために4つの調査を行った。その結果,「生活面の世話」「生活音」の二つが主たる問題であることがわかった。これは,子が20代よりも30代の場合に一層顕在化し,男性の子では,高齢化する親が,子の生活の世話,生活リズムの違い,生活音に悩み,女性の子では,むしろ親が子を頼りにする様子が浮かび上がった。成人同居期の暮らしには,子・親,男・女ともに生活面の自立能力を身につけ互いに協力共同することが求められ,住まいの点では,子と親の部屋の適度な距離と独立性,防音性能,トイレ・洗面等の複数設置などの工夫が必要である。