2008 年 34 巻 p. 185-194
本研究は,市街地に1960-70年代に建てられた高層高密度団地の共用スペースに着目し,団地活性化の方策について考察を行うものである。住棟一階共用スペースについては,築後30-40年が経過する中で時代のニーズに合わせてその機能を変えているが,特に子ども施設への転用が多く見られる。団地居住者の少子高齢化が進む中でも,共用施設の役割が居住者だけのものから周辺地域のものへと変化させた事,団地の空間環境が子どもの遊び場に適している事から,子ども施設への転用が続いていると考えられる。一方,居住者も子ども施設の存在が団地に活気を生むと評価しており,空店舗増加等,荒廃化が進む団地において,今後子ども施設が団地再生,地域コミュニティ発展の核として役割を果たすことが期待できる。