2000年以降のわが国の独立住宅においては,中廊下型住宅が減少し,代わって居間中心型住宅の普及が著しいことを明らかにした。しかも,面積水準が高くなるに従いその傾向は強く,「居間階段」がその約8割を占めており,この場合には1階1室型の出現率が高い。一方で座敷を設ける世帯が激減し,さらには,和室を設けない世帯が急増していることなどを考え合わせると,そこには家族生活空間の拡充志向が認められ,居住後も家庭内交流への評価が高い。この点が普及の大きな要因の一つであり,空調効率の向上という技術的な背景が,これを促進している。最後に,居間中心型住宅の計画課題についても言及した。