住宅総合研究財団研究論文集
Online ISSN : 2423-9887
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東京の居住感覚のソシオグラフィ
超高層住居の現在をめぐる総合的調査に準拠して
貞包 英之平井 太郎山本 理奈
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 35 巻 p. 167-178

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抄録

 本研究は,現在の超高層住宅の大きな部分を占める,1998年以降に建てられた東京の超高層住宅のあり方を,居住空間のイメージ分析や居住者の生活史調査をとおして,調査・分析したものである。あきらかにされたのは,この超高層住宅が,(1)東京の経済的沈滞を代償する商品の形式としてあったこと,また(2)それが新たな居住の価値を人びとに説得するイメージとふかく関与していること,最後に(3)このイメージを支えるのが,消費を中心とし,またそれを共同するライフ・スタイルであったことである。この意味で超高層住宅は,90年代後半以降の消費社会の展開を肯定し,また延命する商品としてあった。

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© 2009 一般財団法人 住総研
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