2010 年 36 巻 p. 459-470
本研究は,亜熱帯気候を持つ沖縄に建てられた環境共生型の福祉・宿泊施設における生活環境を総合的に調査することにより,亜熱帯気候下でのパッシブな環境調整手法の有効性と今後のあり方,さらに高齢者の生活環境に与える影響との関係を明らかにしようとするものである。本研究では,まず設計者の設計時における環境調整に関する意図に対応した具体的な手法を各々抽出した上で,それら パッシブな環境調整の手法を対象施設内外の温熱環境を調査し,その有効性について検討する。また,同時に施設の利用者の主観申告調査も行い,最後に,これらの調査結果を総合し,亜熱帯気候下での環境共生型高齢者施設の今後のあり方について考察を行った。