抄録
欧州諸国により近代住宅団地が供給されたアフリカ都市のうち,セネガルのダカール市を例に,供給当時の近代的全体計画に基づく住宅地の様相を明らかにし,その上で,経年後の様相を重ねて地域的,個別性をうかびあがらせ,近代住宅団地の多様な可能性を問うことを目的とする。まず図面資料の分析により,BAOBAB団地全体(888戸)の供給時の平面計画と1棟の構法,建設活動を明らかにした。次に,一連のエリア(255戸)の住戸形体等の経年後の状況を整理したうえで,条件が統一される賃貸長屋(122戸)の間取り変化について,ネットワークを用いた定量的な分析と空間構成の質的な分析を行い,経年変化に関わる要素を考察した。