抄録
少子高齢化社会においては,公共施設等のインフラの維持・管理活動の担い手として住民自身が公共空間に積極的に関わることが求められている。本研究では,住民の主体的な維持・管理活動により公共的土地利用が行われているコミュニティガーデンを対象に,コミュニティが主体性を確保し,空間の公共性を担保するプロセスを4つの事例から分析した。この結果,コミュニティガーデンという場がコミュニティの主体性を醸成するツールになっていること,また空間の公共性はガーデンづくりという協働作業と運営主体の積極的な地域との関わりによって生み出されていることが明らかになった。一方で,コミュニティガーデンのような一種のテーマ型の活動は,活動のきっかけを行政が設定した場合に「区」などの比較的大きな規模のコミュニティが基盤となることから,活動エリアとコミュニティのエリアの整合性を取ることが難しいことが明らかになった。