抄録
本研究では,オープンスペースの認可保育所幼児フロアにおける,幼児の移動および玩具活動を観察に基づき,幼児の知覚-行為水準を踏まえた保育施設のエリア構築について考察した。まず,ウェアラブルカメラを装着した5 歳児の室内移動の動画記録から,経路選択に関わる室内レイアウトを抽出し,オープンスペースをエリア分けする際の特性を調べた。次に居住者によるモノのレイアウトから積み木玩具の活動エリアの変遷を追った。これらの分析から保育施設のエリアが具現するプロセスについて考察した。保育施設のオープンスペースは,幼児が動かすことのできないものを保育者が配置することでエリア分けされるが,幼児が玩具や教材などを部屋のレイアウト特性に制約を受けながら使用することによって,それぞれの移動および滞在性を始めとするエリアの機能が定まっていくことが示唆された。