2022 年 48 巻 p. 85-96
本研究では,地域生活や空間認知に課題を有する盲重複障害者を対象として,障害福祉サービス事業所を中心とした居場所形成の様子と,空間把握行動の特性を明らかにすることを目的とする。X事業所においてヒアリング及び行動観察調査を行い,1)盲重複障害者はX事業所のプログラムを介して地域内外の多様な人との関わりを実現していること,2)事業所においては他者とのコミュニケーションを積極的に取るために滞在場所を選択していること,3)空間把握行動は時間の経過と共に変化し,他者との関わり方にも影響することを明らかにした。盲重複障害者にとってX事業所は単なる就労の場ではなく,Well-beingの実現に繋がる様々な機会を得ていた。