抄録
膝蓋骨内方脱臼は伸展時に内側に膝蓋骨が脱臼する事から、造溝術を施すだけでは再脱臼を起こす事が多い。そのため複数の手技を症例により組み合わせて実施する事が普通である。今回我々は、Grade IIIの膝蓋骨内方脱臼を起こしている犬2頭に対し、滑車溝を深くする方法ではなく、大腿骨遠位端の内側滑車稜を高くする方法を考え試みた。手術は内側滑車稜を高くする為に、変則的な楔状の骨切りを滑車溝に施しその骨片を反転し内側滑車稜を増高する事により、伸展時の膝蓋骨の脱臼を抑える事が出来た。この方法で2頭の犬のそれぞれ1脚ずつを手術し、再脱臼、歩行異常等なく良好な成績であった。またCTおよびX線画像で検査したところ、内側滑車稜が高くなっている事を確認出来た。