動物循環器病学会学術誌
Online ISSN : 2432-5392
総説
犬の肺高血圧症の臨床診断と治療
髙野 裕史
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 3 巻 1 号 p. 8-16

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抄録

肺高血圧症は肺動脈圧が上昇する病態を指し、動物病院における心エコー装置の普及に従って、犬においても比較的頻繁に遭遇する病態となってきている。肺高血圧症の病因は肺循環血液量の増加、肺血管抵抗の上昇、肺静脈圧の上昇に大別されその病態は複雑となる。また、基礎疾患が治療方針に影響することも一般的である。犬の場合、僧帽弁閉鎖不全症に起因する肺高血圧症が最多であるが、肺疾患、短絡性心疾患による肺高血圧症も一定の割合で認められ、特発性肺動脈性肺高血圧症の報告もなされている。原因疾患の特異的治療が第一優先となるが、一酸化窒素―cGMP 経路に作用するホスホジエステラーゼ5 型の特異的阻害薬であるシルデナフィルも肺血管拡張薬として広く用いられるようになってきており、肺動脈圧の低下や臨床徴候の改善を期待できる。

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© 2019 一般社団法人動物循環器病学会
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