抄録
2000年4月から2008年12月までに両側性甲状腺癌と診断され片側切除を実施した8例の生存分析を行った。年齢は平均9歳で転移は認められなかった。切除した腫瘍の大きさは平均4.6cm(幅3~8cm)で、切除しなかった残存腫瘤の大きさは平均2.5cm(幅2~4cm)であった。5頭で化学療法を実施し、局所再発や遠隔転移は認められなかった。生存期間中央値は593日で、腫瘍関連死は、術後11日に喉頭麻痺により死亡した1例のみであった。これらのことから、反対側の腫瘤が小さい場合には片側の腫瘤切除が有効である可能性が示唆された。