獣医疫学雑誌
Online ISSN : 1881-2562
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総説
オーストラリアオオコウモリの人獣共通ウイルス
McKINNON AllanMIZUNO Tetsuo
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2009 年 13 巻 1 号 p. 30-39

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抄録
コウモリはChiroptera目(翼手という意味)に属し,Microchiroptera亜目(小コウモリ亜目)とMegachiroptera亜目(オオコウモリ亜目)の2つに分けられている。オーストラリアには,Pteropus属に属する13種のオオコウモリ亜目が存在し,そのうち8種がオオコウモリ(フライングフォックス)である。ハイガシラオオコウモリ(P. poliocephalus),クロオオコウモリ(P. alecto),オーストラリアオオコウモリ(P. scapulatus),メガネオオコウモリ(P. conspicullatus)の4種のオオコウモリは,ヒトを含む動物で感染を拡大及び成立する人獣共通ウイルスの保有種(レゼルボア)としての重要な役割を演じているとみられる。
1990年代にオーストラリアに生息するオオコウモリから分離された数種の新しいウイルスのうち,ヘンドラウイルス,メナングルウイルス,オーストラリアンバットリッサウイルスなどが,人獣共通感染症の病原体として重要である。ヘンドラウイルスとメナングルウイルスはパラミクソウイルス科に分類される。ヘンドラウイルスは,呼吸器及び神経疾患の原因となり,馬及びヒトで致死的な病気をしばしば引き起こした。養豚場で豚胎子の死亡を引き起こすメナングルウイルスは,ヒトにおける熱性のインフルエンザ様症状の原因となるかもしれない。オーストラリアコウモリリッサウイルスは,リッサウイルス属に属する新種とされており,血清型1(狂犬病)及び血清型5(ヨーロッパコウモリリッサウイルス1)に密接に関連する。このウイルスは,コウモリで神経症状を引き起こすとともに,ヒトの致死的疾患の原因ともなる。
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© 2009 獣医疫学会
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