抄録
有症苦情事例の調査で馬刺しを共通食品とする事例が複数あることが判明した。疫学解析の結果,馬刺しが原因食品として考えられ,寄生虫学的及び病理組織学的検査を実施したところ,住肉胞子虫(Sarcocystis)が高度に寄生していることが判明し,生物学的及び形態学的特徴から犬を終宿主,馬を中間宿主とするS. fayeriと同定された。毒性評価に用いたウサギ腸管結紮ループ試験でS. fayeriシスト内15kDa蛋白質の下痢原性が証明された。本食中毒予防法としては,凍結処理が有効であった。S. fayeriの確認検査法として,ひとつは生鮮馬肉の詳細な顕微鏡観察であり,もうひとつはPCR法を用いた住肉胞子虫18SrRNA遺伝子の検出である。