獣医疫学雑誌
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原著
2013-2014年の日本の豚流行性下痢流行初期における農場間伝播速度の指標としての基本再生産数
蒔田 浩平山本 健久
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2019 年 23 巻 2 号 p. 111-118

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抄録

日本の養豚業は2013年に国内に侵入した世界的な豚流行性下痢(PED)の流行により甚大な被害を被った。本研究は,国内最大の養豚地帯である鹿児島県にて発生したPED流行初期における農場レベルでの感染力を定量化するために実施された。

農場内感染状況により農場を以下の5つのコンパートメントに分けたコンパートメントモデルを作成した:感染豚がいない感受性期(S) ; 少なくとも一頭の感染豚がいるが一頭も症状を呈していない暴露期(E) ; 少なくとも一頭の豚が症状を呈しているが,意図的にあるいは意図せずにまだ獣医当局に報告されていない感染性期(In) ; 症状を呈している豚がおり,獣医当局に感染農場として認識されている感染性期(Id) ; 全ての豚がPEDから回復した回復期(R)。

パラメーターは,鹿児島県から提供された流行開始から40日間の実際のデータを基に,日ごとの新発生数と累積清浄化農場数の最尤推定により導出した。潜伏期間は2日間,獣医当局へは発生翌日に通報されるものと仮定した。基本再生産数R0は次世代行列を用いて計算した。

結果として,感染性期間およびR0はそれぞれ54.4日と5.39と推定された。まとめとして,流行初期の農場間感染力は非常に高く,これまですでに報告されている共通感染源感染に加えて農場の感染性期間の長期化が本病の迅速な拡大の原因となっていたことが明らかとなった。

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