Pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide(PACAP)は細胞保護作用,抗炎症作用,神経細胞増殖・分化機能をはじめ多岐にわたる生理機能を有する神経ペプチドである.これまで,胎生期および出生後の神経の発生過程への関与はよく報告されており,神経を含む外胚葉由来の器官発生に関しての報告は多数報告されているがそれ以外の胚葉への関与はほとんど明らかになっていなかった.本稿では,近年,我々が見出したPACAPの造血に対する役割を概説するとともに,自律神経投射によるPACAPの恒常性維持や病態への制御の可能性を紹介する.