抄録
1996~1999年の輸入牛についてネオスポラの抗体保有状況調査を行った。蛍光抗体法 (IFA) で30群の1, 184頭の保存血清を用いて検査を行った結果, 群の陽性率は50% (15/30) , 個体の陽性率は2.8% (33/1184) で, 国内調査での陽性率5.7% (139/2420) より有意に低かった。輸出国別では米国, カナダ問で差が認められず, 輸入年, 品種, 性別での保有率に有意差はなく, 多くの州の多くの農場で抗体保有牛が存在し, 広範な浸潤が示唆された。抗体価は200~400倍が多く, 輸入後の追跡調査の結果, 抗体陽性牛の28%が異常産歴を有していた。ネオスポラ症と確定診断されたのは2頭のみであったが, 今後は流死産例について本病の関与を明らかにする必要がある。抗体測定用のプロテインAG-ELISAはIFAとの一致度が高く, 多検体のスクリーニングテストに有用である。