抄録
生産データを収集した米国687農場から, 5年間一定以上の精度のある記録を保持する農場という基準で149農場を選択した。不受胎割合は, ある期間の問に種付けされた雌豚のうち, 再発したものと, 分娩しなかった雌豚数を種付け雌豚数で除した%と定義した。種付けとは10日以内で1回以上の交配があったものとした。149農場の繁殖雌豚39, 945頭を観察したところ, 155, 035産歴中178, 367回の種付けにおいて, 不受胎は39, 204頭 (22.0%) で起こり, 23, 332頭 (13.1%) が再種付けされた。再種付け, 3回目以降の種付けでの不受胎割合は, 32.4%, 49.4%であった。SAS混合モデルを使用した多変量ロジスティック回帰分析で, 同一産歴内での種付け回数の増加 (再種付け) と不受胎の増加とは統計的関連があった (P<0.05) 。再種付け雌豚では, 産歴, 授乳期間と種付け季節は, 不受胎と関係があったが (P<0.05) , 離乳後の初回種付け日数は不受胎と関係なかった。授乳期間が1から10日であった再発母豚は, 14日以降に離乳された再発母豚より不受胎が多かった (P<0.05) 。初回種付け雌豚も再種付け雌豚も, 4から9月に種付けされたものは, 10から3月に種付けされたものより不受胎が多かった (P<0.05) 。これらの結果から低産歴または高産歴で, 授乳期間が短く, 春から夏にかけ再種付けされた雌豚は, 種付け後も再発情を注意して観察すべきことが示唆された。