抄録
タウリンはストレプトゾトシン(STZ)誘発 1 型糖尿病マウスにおいて、血糖値の上昇を抑制した。糖尿病マウスでは肝臓のグリコーゲン量が減少し、血中ケトン体が顕著に増加したが、タウリンの 8 週間投与によりこれらの変化は抑制された。タウリンは肝臓の糖新生に関連する酵素の発現に影響を与えなかったが、肝臓の糖輸送体(GLUT2)の mRNA発現を有意に増加させた。正常マウスでのマイクロアレイ解析では、タウリン投与は肝臓のグリコーゲン合成に関連した遺伝子発現を増加させた。タウリン投与はまた、糖尿病マウスの肝臓、腎臓およびすい臓における酸化ストレスの増加を抑制した。以上
の結果から、タウリンの 1 型糖尿病抑制効果のメカニズムとして、肝臓の糖代謝異常の改善と抗酸化作用の関与が示唆された。