日本獣医師会雑誌
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日本小動物獣医学会会誌
犬の乾性角結膜炎に対する自家製シクロスポリン点眼液の臨床評価
片野 修一宮 賢次郎山我 義則藤原 範子森田 剛仁島田 章則
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2009 年 62 巻 10 号 p. 796-801

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抄録

犬の乾性角結膜炎(KCS)の治療に,シクロスポリンの角膜組織への透過性と溶解度の点から0.025%および0.05%シクロスポリン点眼液(α-シクロデキストリン含有)を異なる材料と方法で作製し,おのおのKCS罹患犬5症例に臨床応用を試み,その効果を比較検討した.評価項目として,結膜,角膜,角膜輪部,眼脂に区分した眼症状の改善度およびシルマー涙液試験(STT)を用いて測定した涙液量を指標として臨床評価を行った.その結果,全例に眼症状の改善が認められ,0.025 %点眼液より0.05%点眼液のほうが,角膜所見および眼症状の総合所見において有意な(P <0.05)改善を示した.STT値は,0.025%点眼液で平均4.5±1.2mm/分,0.05%点眼液では平均8.1±2.0mm/分といずれも増量を示した.また0.05%シクロスポリン点眼液は製剤として沈澱,混濁がなく,均一安定性を示した.以上の成績から,犬のKCS治療に0.05%シクロスポリン点眼液が臨床的に有用であることが示唆された.

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© 2009 公益社団法人 日本獣医師会
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