2009 年 62 巻 7 号 p. 559-562
5歳齢,避妊済み雑種犬が急性膵炎の発症後約4週を経過してふたたび嘔吐を主訴とし来院した. 超音波検査で,嚢胞内に血流のない組織を含んだ大きなエコーフリー像が胃に隣接してみられた. 内視鏡検査で,胃幽門洞大彎側で胃粘膜が球状に胃内に隆起し,幽門洞を狭小化しているのが確認された. CT検査では膵左葉から胃背側壁に達する均質な低吸収域が確認された. 開腹手術を実施したところ囊胞が確認されたため,経胃的外瘻ドレナージ術を施した. 術後の経過は良好で,ドレーンチューブを抜去した後も再発はみられなかった.