2010 年 63 巻 6 号 p. 439-441
平成20年の4月と5月,青森県の同一地域内で25日齢のサラブレッド種の子馬2頭が急死した. 両子馬ともに肝臓に病変が認められ,病理組織学的に多発性巣状壊死が特徴的であった. ワーチンスターリー染色で壊死巣周辺の肝細胞内に長桿菌が確認された. 抗Clostridium piliformeポリクローナル抗体を用いた免疫染色では長桿菌に一致して陽性抗原が検出された. 透過型電子顕微鏡検査で肝細胞内の桿菌体に周毛性鞭毛の密生が観察された. C. piliforme特異プライマーを用いたリアルタイムPCR検査では肝臓で陽性反応が認められた. 以上の所見からティザー病と診断された. 繁殖牝馬を対象に間接蛍光抗体法による抗体検査を実施した結果,大部分の個体が抗体を保有していることが判明し,本菌が広く浸潤している可能性が示唆された.