日本獣医師会雑誌
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獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
Arcanobacterium pyogenesによる豚の多発性化膿性漿膜炎の1例
油井 武芝原 友幸小林 秀樹亀田 光澄吉田 輝美荒井 理恵久保 正法
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2011 年 64 巻 8 号 p. 645-650

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抄録
埼玉県内の一養豚場で発育不良を呈する15週齢の肥育豚1頭を病理学的に検索した.肉眼的に,肝臓,脾臓,空腸,回腸及び結腸の漿膜,肺胸膜,心外膜,腸間膜に白色結節(直径約0.2~1.0cm)が多数認められた.組織学的に,この白色結節は,厚い結合組織に覆われた膿瘍であり,中央にグラム陽性,多形態の小桿菌がみられた.免疫組織化学的に桿菌に一致して,Arcanobacterium pyogenes抗原が確認された.細菌学的検査により,肝臓,脾臓,腎臓,心臓,肺及び胸水から分離された小桿菌は,いずれもA. pyogenesと生化学的性状が一致した.また,16S rRNA遺伝子配列解析により,肝臓の膿瘍から分離された細菌もA. pyogenes と同定された.本症例は,Arcanobacterium pyogenes による極めてまれな多発性化膿性漿膜炎と診断された.
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© 2011 公益社団法人 日本獣医師会
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