抄録
食欲不振,嘔吐の主訴で来院した10歳齢の猫の開腹手術を行ったところ,回盲結腸結合部獎膜面に腫瘤が存在し,同腫瘤は盲腸の一部と癒着していた.組織学的検査の結果,大型の線維芽細胞様細胞,密な膠原線維の小柱及び好酸球の著明な浸潤が認められた.大型の線維芽細胞様細胞はビメンチン及びα-平滑筋アクチンに陽性を示したことより,筋線維芽細胞と考えられた.また,病巣内に好中球及びマクロファージの浸潤を伴ったグラム陰性桿菌及び多核巨細胞の浸潤を伴った異物が認められた.以上の所見より,本症例はFeline gastrointestinal eosinophilic sclerosing fibroplasia と診断された.