日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
牛ウイルス性下痢ウイルス感染症の地域的な対策事例と効果の検証
斎野 仁川内 京子臼井 章大野 浩迫田 義博田島 誉士
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キーワード: , BVD, 遺伝子型, ワクチン
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2013 年 66 巻 11 号 p. 791-796

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抄録

根室地域B町で2006年から,牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)感染症(BVD)の対策を開始し,毎年,すべての育成牛にBVDの生及び不活化ワクチンを接種(LK方式)した.さらに汚染源である持続感染(persistent infection : PI)牛の摘発のため880戸の全酪農場のバルク乳のRT-PCR検査と公共牧場全頭のBVDV分離を毎年実施した.LK接種42カ月経過後で抽出検査した血清の90%がBVDVに対する抗体を保有した.6年間のバルク乳検査でPI 牛56頭を摘発・淘汰し,2012年には2頭に減少した.さらに公共牧場で12,349頭を検査し7頭(0.06%)のPI牛を摘発・淘汰した.対策開始後のPI牛の出生率は有意に減少し,2008年以降にLK方式ワクチン接種による胎子感染防止効果が確認された.以上から,ワクチン接種とPI牛の積極的サーベイランスでBVDの制圧が可能と判断した.

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