日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
リンパ形質細胞性リンパ腫と考えられた猫の1例
森田 泰典森田 佳子三井 一鬼
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2013 年 66 巻 11 号 p. 807-811

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抄録

10歳,雄のアメリカンショートヘアが左下顎腺周辺部の腫脹を主訴に来院した.当初は針生検で唾液粘液囊胞と判断したが,3カ月後に行った腫脹部の針生検では粘液に混在した異型リンパ球様細胞を認め,リンパ腫と診断した.化学療法としてCOP療法を行ったところ完全寛解が得られ,治療は6カ月間継続し終了した.治療終了2カ月後の同部位の針生検で,ふたたび異型リンパ球様細胞を認めたため,根治及び確定診断のため病巣部の摘出を行い,病理組織検査及び組織の免疫染色を実施した.腫瘍細胞の特徴的な形態と大部分の腫瘍細胞のMUM1(形質細胞マーカー)陽性,ごく一部のCD79a (Bリンパ球マーカー)陽性,CD3(Tリンパ球マーカー)陰性所見から本症例はリンパ形質細胞性リンパ腫と考えられた.再発後,数種の抗腫瘍薬を投与し,再寛解は得られなかったがほぼ6カ月間,良好に経過した.

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