塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC)の単剤(単剤A)及びDDACとフェノール誘導体との複合消毒薬(複合剤B)を石灰水及び蒸留水で希釈し,低温及び有機物存在下における鳥インフルエンザウイルス(AIV)及び牛エンテロウイルス(BEV)に対する消毒効果を調べた.AIVに対し両剤とも殺ウイルス効果を示したが,石灰水希釈は蒸留水希釈時よりも消毒効果が高くなり,さらに複合剤Bは単剤Aよりも低温及び有機物存在下で高い効果を示した.BEVでは,蒸留水希釈の単剤A及び複合剤Bは消毒効果を認めなかったが,両薬剤を石灰水で希釈すると効果が認められた.低温かつ有機物存在下では消毒効果は激減し,単剤Aでは効果が認められなくなったのに対し,複合剤Bは効果が認められた.このことから,石灰水で希釈した両薬剤はAIV及びBEVに蒸留水希釈よりも効果があるが,複合剤Bの方が特に低温及び有機物存在下で単剤Aよりも高い効果を示すことがわかった.