日本獣医師会雑誌
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獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
低温及び有機物存在下における石灰水を使用した逆性石鹸系消毒薬の鳥インフルエンザウイルス及び牛エンテロウイルスに対する消毒効果
長井 誠江崎 唯関 令二上村 良二下山 俊明久保田 拓海白井 淳資
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2013 年 66 巻 9 号 p. 633-637

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抄録

塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC)の単剤(単剤A)及びDDACとフェノール誘導体との複合消毒薬(複合剤B)を石灰水及び蒸留水で希釈し,低温及び有機物存在下における鳥インフルエンザウイルス(AIV)及び牛エンテロウイルス(BEV)に対する消毒効果を調べた.AIVに対し両剤とも殺ウイルス効果を示したが,石灰水希釈は蒸留水希釈時よりも消毒効果が高くなり,さらに複合剤Bは単剤Aよりも低温及び有機物存在下で高い効果を示した.BEVでは,蒸留水希釈の単剤A及び複合剤Bは消毒効果を認めなかったが,両薬剤を石灰水で希釈すると効果が認められた.低温かつ有機物存在下では消毒効果は激減し,単剤Aでは効果が認められなくなったのに対し,複合剤Bは効果が認められた.このことから,石灰水で希釈した両薬剤はAIV及びBEVに蒸留水希釈よりも効果があるが,複合剤Bの方が特に低温及び有機物存在下で単剤Aよりも高い効果を示すことがわかった.

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