抄録
頭部下垂,背弯姿勢,頸部痛及び強直性発作の急性神経症状を呈した犬において,血液及び血液生化学的検査により,白血球数の増加及びCRPの上昇が認められた.MRI検査では,頭蓋骨内外に膿瘍に特徴的な所見であるリング状の造影増強効果を示す病変が認められ,それらは硬口蓋背側まで拡大していた.また,同病変部からは,塗抹標本における多量の好中球及び細菌培養によるγ溶血性レンサ球菌の分離がみられた.これらの所見から,頭蓋内膿瘍と診断され,歯周炎から直接感染した可能性が疑われた.抗生剤の投与により,外科的処置を行わずに良好な経過が得られ,第50病日のMRI検査において,リング状病変の完全消失が確認された.