日本獣医師会雑誌
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獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
季節自己回帰和分移動平均モデルによると畜検査データの時系列分析法
足立 泰基蒔田 浩平
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2015 年 68 巻 3 号 p. 189-197

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抄録
多くの食肉衛生検査所は,衛生的な食肉生産を推進するために生産者にデータ還元を行っているが,と畜検査データの統計処理に関する報告は少ない.時系列分析は,公衆衛生分野を含む医学生物学の幅広い分野で用いられており,廃棄率の顕著な変化から疾病のまん延や薬物治療の有効性を判定するのに利用できる.今回,季節自己回帰和分移動平均(SARIMA)モデルを用いて廃棄率データを分析するための好適条件を検討した.10農場からの搬入豚の4疾病による廃棄率データについて,SARIMAモデルの当てはまりと対照モデルである指数平滑法の当てはまりを比較した.39モデルで対照モデルより逸脱度が小さく,27モデルで有意であった.本法は生産者に対して農場の衛生状態の合理的な判断指標を提供することによって,衛生的な食肉生産を促進するツールとして利用可能である.
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© 2015 公益社団法人 日本獣医師会
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