抄録
本稿では近年疫学研究で利用されているケース・コホート研究の概略をまとめた.また,日本での適用事例として,スタチン系薬剤に関する薬剤疫学研究(JSS: Japan Statin Study)を取り上げた.ケース・コホート研究では,観察開始時に研究コホートからサブ・コホートをランダムにコントロールとしてサンプリングする.そのため研究対象とするケースの種類や発生に応じてコントロールをサンプリングする必要がないので,コホート研究と同様に複数のイベントを同時に研究できる.さらに,未知の副作用の発現を前向きに研究する医薬品の安全監視手法としても応用可能であり適応範囲は広い. (薬剤疫学 2013; 18(2): 84-89)