抄録
子牛の臍部異常には臍帯炎や尿膜管遺残等が挙げられるが,触診や視診のみでは診断と治療法の選択は困難である.今回,臍部異常を示した子牛8頭に対して,超音波診断装置を用い,膀胱,尿膜管及び臍部を精査し,処置法を選択した.局所的な臍帯炎と診断した3頭のうち,臍部に膿汁様物の貯留を認めた2頭で臍部の摘出手術を行った.また尿膜管遺残が認められた5頭のうち4頭で,尿膜管内や臍部に膿汁様描出所見を認めたので尿膜管及び臍部の摘出手術を行った.膿汁様所見のみられなかった1頭は排尿困難となったため,尿膜管の摘出手術を行ったが,尿膜管と臍動脈の遺残及び膀胱と尿道の癒着がみられ,予後不良であった.子牛の臍部異常において,超音波検査を実施することで,診断及び治療方法の選択が容易であった.