2016 年 69 巻 7 号 p. 383-388
性選別乳牛精液が産子の性別,母牛の分娩後生存率に与える影響を明らかにするために道内16農業共済組合により人工授精されたホルスタイン種母牛379,468頭と,その産子の診療履歴を調査した.性選別乳牛精液による雌産子の出生割合(初産牛92.3%,経産牛89.4%)は,通常乳牛精液(初産牛49.1%,経産牛45.4%)より有意に高かった(P<0.01).性選別乳牛精液により受胎した経産牛の死産発生率(6.1%)は通常乳牛精液で受胎した場合(7.7%)より有意に低かった(P<0.01).性選別乳牛精液により受胎・分娩した初産・経産牛の分娩後1年生存率は,通常乳牛精液より有意に高かった(P<0.01).本研究の結果から性選別乳牛精液の利用により,雌産子の出生は増加し,かつ母牛の供用年数は高まることが示唆された.