2017 年 70 巻 6 号 p. 370-374
24カ月齢の黒毛和種肥育雌牛が慢性的な下痢を呈し,充実性組織塊が混在する水様性下痢,血液検査で栄養状態の低下と好酸球増多症を認めた.糞便より有意菌や寄生虫卵等は不検出であった.組織塊の細胞診で好酸球性炎による腸粘膜が剝離したものと推定し,好酸球性腸炎と診断した.また,当該牛は慢性的に高GGT血症を示し,16病日と47病日に下痢が再発した.粗飼料中のマイコトキシン検査では残飼稲ワラにおいて総アフラトキシンとして60病日に0.152mg/kg,120病日に0.300mg/kgが検出され,アフラトキシン中毒が示唆されたが,副腎皮質ホルモンを中心とした治療やマイコトキシン吸着剤の飼料添加後,栄養状態の改善が認められ,50病日以降の下痢の再発や好酸球数の増加は認められなかった.以上より,本例はアフラトキシン中毒を併発した好酸球性腸炎と考えられた.