2017 年 70 巻 7 号 p. 435-437
牛白血病ウイルス(Bovine Leukemia Virus:BLV)感染が乳用牛の生産性に与える影響を検討した.乳用牛群能力検定の乳量,乳質及び分娩間隔を生産性の指標として,2015年5〜12月に1酪農場で調査を実施した.BLV抗体陽性牛(陽性牛)延べ160頭とBLV抗体陰性牛(陰性牛)延べ176頭の乳量及び乳質に差はなかった(P>0.05).調査期間中に2産目以降を分娩した牛(陽性牛14頭,陰性牛18頭)について分娩間隔を比較したが差はなかった(P>0.05).BLV感染による生産性の低下はみられなかったが,調査期間中に1頭で地方病性牛白血病(Enzootic Bovine Leukosis:EBL)の発症をみた.酪農場のBLV対策は,EBLの発症予防を目的としてBLV感染率を低下させることが重要である.